Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate

Aozora Bunko

骨肉

子どもなんざ、ままになれだが、ああまで情の深い女はめずらしい。不憫とも、可憐しいとも、いいようのねえやつサ。お袖が、うんというならば、おれがおめえになり代ってやりてえくらいなもんだ。……ええ、おい。何とかいえやい」

焦れッたそうに、またコツコツと、啄木鳥のような音をさせ、

「あと、十日も経てば、お犬小屋の一件の詮議も、きっと緩むにちげえねえと、おれには考えられる筋があるんだが、もう、ここにはあと一日といられまい。おめえも、元の古巣へ一緒に帰れよ。あそこの巣には、お袖もいるぜ、梅賀もいるぜ、阿能十もやがてどこからか現われて来るだろう。もとの仲間と、またおもしろく、仕たいことをして、遊ぼうじゃねえか」

「しッ……しっ」

市十郎は、うしろ向きのまま、机の下で手を振った。

「おるか」

男の声だ。ふすまの音あらく、入って来たのは、忠右衛門とおもいのほか、市十郎にとっては、その養父より恐い実家の兄の大岡主殿だった。

骨肉

坐るか坐らぬ、うちにである。

主殿はやにわに、机の上の書物をひッ奪くッて、

「えい、おのれが。なんの為に、こんなものを読みおって」

と、障子へ向って、抛り捨てた。