Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
……おゆるしください」
むくと、かれは面を上げた。そして静かに、短刀の鞘を払った。かれの面はすでに死に澄んでいた。死んで詫びようと決意したのだった。
「あッ。あぶねえ。――と、とんでもねえ真似をするもんじゃあねえ」
あわてたので、戸棚の中の大亀は、頭をぶつけ、戸を外したので、戸と共に、ころげ出して来て、市十郎の手くびを抑えた。
「行こう! 死ぬくれえなら、町へ飛び出そう。どッちみち、おれも、今夜がおさらばだ。――おいっ、お袖のいる所へ行こうぜ」
ぐいぐいと腕を引ッ張った。いちど、短刀を取り落した市十郎の手には、従兄のそういう力に、抗し得ない魅力をおぼえた。その力にまかせて行けば、そこには、お袖がいるのだ。気まま仕たいままな、享楽の灯があるし、苦悩を知らない泡沫のような悪の仲間がおもしろそうにウヨウヨしている。
「おっ、たれか来るっ。早くしろ」
「兄だっ。ああ、兄上……」
「ええ、もう。何を、ベソ掻いて、うろうろするんだ。おれの腕に、つかまって来い。大船に乗った気で――」
腕に腕をかたく組んで、ずるずると、廊下へ出、そのままぱッと白い夜雨の中へ飛び出した。
「ややっ。