Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
裸馬
――厄介なお坊ちゃんであると知れたのである。
――蕎麦屋は、巷の迅風耳とみえ、よくしゃべっていたが、急に、担荷に天秤をさし入れて、
「葵御紋の印籠なぞは、夜鷹蕎麦屋には、風鈴の代りにもならないやね。願い下げだよ、これは。……だが、見れやあいい若い者のくせに、幼な子を抱いて、この霜夜に、どうしたってえことだ。お嬶に間男でもされて逃げられなすったかね。蕎麦代はその子に奢っておこう。――風邪をひかせなさんなよ」
と、そのまま行ってしまった。
夜が明け、夜を迎え、それでも何とか、人間は喰べつないでゆく。久助が、食物を漁りまわっては持って来るのだった。そのうちに、銭など持っていることもあり、それのある時は、木賃の薄蒲団に寝た。
葵ぢらしの印籠は、お燕のよい玩具になったが、市十郎が、そのお方の好意にたいしても、勿体ないといって、以来、お燕の腰紐に、守り袋と一しょに提げさせていた。
裸馬
「あっ、泥棒ッ。――泥棒泥棒っ」
礫のように逃げ走ってくる男がある。追いかける方は二、三人。ひとりは暖簾棒など持っている。
町中はちょうど夕餉の炊ぎ時、靄みたいに煙っていた。それと黄昏を窺って、すぐ見つかるようなのでは、いずれはコソ泥にちがいあるまい。