Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
約束する、かたい約束を」
「この通りです。何とぞ」
「そう、いんぎんになるなよ於市。こっちも武家出、つい固くならあ。――じゃあ、その約束がわりに、おめえにひとつ、持って来てもらいたい物があるんだが」
「何ですか。自分に持って来いというものは」
「おめえの親戚に、たしか大岡兵九郎とかいうのがあったなあ。屋敷は牛込だ。小普請奉行の古手の方だ」
「あります。自分を養家の大岡忠右衛門へ世話いたし、その折の仲人でした」
「そうかい。ううむ……。その兵九郎のやしきへ行って、江戸城のお金蔵の絵図面をひとつ持って来てくれねえか。なあに、あるさ。小普請組の家にゃあるに極まってるものだ。――なに? 借りには行けぬと。ばかアいえ。どんな親しい仲だって貸しなどするものか。忍び込んで、黙って拝借して来るのよ。おめえなら、屋敷の勝手は知ってるだろう。金なぞ盗めというんじゃねえ。やってみろ、やってみろ。度胸試しにゃいい仕事だ。……そして、お袖にも会わせようじゃねえか。なんの、金輪際、それに嘘いつわりがあるものか」
ひそひそ声の雄弁に、市十郎は多くを答えるいとまなかった。この阿能十には、従兄の大亀とはべつな、陰性にして強い牽引力がある。