Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

三十三

けれども彼らがどこへ行くつもりなのだか、その肝心な目的地になると、彼には何らの観念もなかった。

三十三

もう少し聞いている内にはあるいはあたりがつくかも知れないと思って、敬太郎は自分の前に残された皿の上の肉刀と、その傍に転がった赤い仁参の一切を眺めていた。女はなお男を強いる事をやめない様子であった。男はそのたびに何とかかとか云って逃れていた。しかし相手を怒らせまいとする優しい態度はいつも変らなかった。敬太郎の前に新らしい肉と青豌豆が運ばれる時分には、女もとうとう我を折り始めた。敬太郎は心の内で、女がどこまでも剛情を張るか、でなければ男が好加減に降参するか、どっちかになればいいがと、ひそかに祈っていたのだから、思ったほど女の強くないのを発見した時は少なからず残念な気がした。せめて二人の間に名を出す必要のないものとして略されつつあった目的地だけでも、何かの機会に小耳に挟んでおきたかったが、いよいよ話が纏まらないとなると、男女の問答は自然ほかへ移らなければならないので、当分その望みも絶えてしまった。

「じゃ行かなくってもいいから、あれをちょうだい」と、やがて女が云い出した。