Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
固より自慢でこう云う話をするのではない。真底を打ち明ければむしろ自慢の反対で、全く信念の欠乏から来た引込み思案なのだから不愉快である。が、朝から晩まで気骨を折って、世の中に持て囃されたところで、どこがどうしたんだという横着は、無論断わる時からつけ纏っていた。僕は時めくために生れた男ではないと思う。法律などを修めないで、植物学か天文学でもやったらまだ性に合った仕事が天から授かるかも知れないと思う。僕は世間に対してははなはだ気の弱い癖に、自分に対しては大変辛抱の好い男だからそう思うのである。
こういう僕のわがままをわがままなりに通してくれるものは、云うまでもなく父が遺して行ったわずかばかりの財産である。もしこの財産がなかったら、僕はどんな苦しい思をしても、法学士の肩書を利用して、世間と戦かわなければならないのだと考えると、僕は死んだ父に対して改ためて感謝の念を捧げたくなると同時に、自分のわがままはこの財産のためにやっと存在を許されているのだからよほど腰の坐らないあさはかなものに違ないと推断する。そうしてその犠牲にされている母が一層気の毒になる。
母は昔堅気の教育を受けた婦人の常として、家名を揚げるのが子たるものの第一の務だというような考えを、何より先に抱いている。