Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
ただ一度……しかしこれは後で話す方が宜かろうと思う。
母は自分のいう事に耳を借さなかった僕を羞恥家と解釈して、再び時期を待つもののごとくに、この問題を懐に収めた。羞恥は僕といえども否定する勇気がない。しかし千代子に意があるから羞恥んだのだと取った母は、全くの反対を事実と認めたと同じ事である。要するに母は未来に対する準備という考から、僕ら二人をなるべく仲善く育て上げよう育て上げようと力めた結果、男女としての二人をしだいに遠ざからした。そうして自分では知らずにいた。それを知らなければならないようにした僕は全く残酷であった。
その日の事を語るのが僕には実際の苦痛である。母は高等学校時代に匂わした千代子の問題を、僕が大学の二年になるまで、じっと懐に抱いたまま一人で温めていたと見えて、ある晩――春休みの頃の花の咲いたという噂のあったある日の晩――そっと僕の前に出して見せた。その時は僕もだいぶ大人らしくなっていたので、静かにその問題を取り上げて、裏表から鄭寧に吟味する余裕ができていた。母もその時にはただ遠くから匂わせるだけでなくて、自分の希望に正当の形式を与える事を忘れなかった。