Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

やむを得ず横になったまま巻煙草を一本吸っていると、半分ほどに燃えて来た敷島の先が崩れて、白い枕が灰だらけになった。それでも彼はじっとしているつもりであったが、しまいに東窓から射し込む強い日脚に打たれた気味で、少し頭痛がし出したので、ようやく我を折って起き上ったなり、楊枝を銜えたまま、手拭をぶら下げて湯に行った。

湯屋の時計はもう十時少し廻っていたが、流しの方はからりと片づいて、小桶一つ出ていない。ただ浴槽の中に一人横向になって、硝子越に射し込んでくる日光を眺めながら、呑気そうにじゃぶじゃぶやってるものがある。それが敬太郎と同じ下宿にいる森本という男だったので、敬太郎はやあ御早うと声を掛けた。すると、向うでも、やあ御早うと挨拶をしたが、

「何です今頃楊枝なぞを銜え込んで、冗談じゃない。そう云やあ昨夕あなたの部屋に電気が点いていないようでしたね」と云った。

「電気は宵の口から煌々と点いていたさ。僕はあなたと違って品行方正だから、夜遊びなんか滅多にした事はありませんよ」

「全くだ。あなたは堅いからね。羨ましいくらい堅いんだから」

敬太郎は少し羞痒たいような気がした。