Classici giapponesi con furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate
夫婦で、もう世の中へ帰ったって仕方がないから、三人で死のうじゃないかと、三人の身体を帯で一つに縛って、滝壺に向って思い切ってとび込んでしまった。ところが女だけが水の中へ落ち込んだものらしく、しばらくして生き返ってしまった。助かって岸に上ってみると、亭主の方も死に損ったと見え、首をくくって死んでいた。小さい子供は崖の途中の樹のてっぺんに引っ掛って死んでいた。
つまり落ち方が良かったのか、悪かったのか、後の二人が死んでいるのに、自分だけ助かっていたというわけである。
その時の心理は我々には解らないが、やはり当人はもう死にたくなくなるものらしく、自首して出た。子供は無意志なので殺人罪が成り立ち、何でも十二年という長い刑に処せられた。しかし、あまりにも品行が正しくて殊勝だし、環境も憐むべきものであり、再犯のおそれは無論ないから、特赦にしてやってくれといって、私から印を捺して申し出た。それで特赦になったわけである。
この二つの犯罪を見ると、まことにかわいそうな事実であった。私は誰かに話したくて、旧友の田山花袋に話したが、そんなことは滅多にない話で、余り奇抜すぎるし、事実が深刻なので、文学とか小説とかに出来ないといって、聞き流してしまった。