Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate

Aozora Bunko

母の腰巾着であり前垂れっ子であった私は、誰にもましてそのことをよく見たり聞いたりしたものである。

まだ婚姻制度が昔風だったころは、誰でも夫婦が会ったり別れたりすることを、ごく無造作に考えていたらしい。やがて女が男の家に来ていっしょに暮し、食わせて貰うという習慣が、貴族の家や良家のみに限らず、並の小さい家にも入って行った。例の北斎漫画のころではないかと思うが、そのころから非常に夫婦喧嘩が多くなり、それでいて女房はなかなか出て行かなくなった。

私ども子供の時分でも、ヒイ、フー、ミーと数える代りに、どこでもよくチュウ、チュウ、タコ、カイナというのを、そうもいわないで「夫婦、喧嘩、いつも、長屋、小言」という言葉をつかったものである。これほど夫婦喧嘩が多かったのである。やはり北斎漫画の出た文化文政のころから、長屋というものが始まり、女房は自分らの力だけで亭主をつかまえておくことができないと、長屋に訴え、世論をバックにして、自分の地位を保とうとした。夫婦喧嘩を扱った文献がたくさん出てくるようになるのも、このころからである。それは恐らく社会の変り目のかなり著しい例であった。