Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

……へい、それだけのことでござりますが」

「それこそ」と宋江は、息ぜわしく「……七日も前か。それを見たのは」

「へい、ひょっとしたら八日前か。でなければ、九日前だったかもしれません。なにせいご布告を知るまでは、生きた心地もございませんでしたで」

「空井戸といったが、深さは」

「それがえらい深い空井戸で、八、九丈もございましょうか」

「水はないな。……いやしかし、もはや柴進どののお命はなかろう。食べ物がないだけでも」

「いえ、だんなさま」と、老吏はこのとき初めて自分の良心を公にいえるよろこびに慄えながら言い出した。「……まだまだ、そこはわかりませぬ。死んでいるとはかぎりませぬ」

「どうして」

「じつはその、多年獄吏をやってきた罪ほろぼしにもなろうかと、獄飯やら何かの食い余りがあるたび、紙にくるんではそっと空井戸の底へ投げやっておりましたんじゃ。……が、それもお城の落ちた日からはそれどころでなくなり、以後はやっておりませんでしたがの」

するとそのとき、頓狂な声の下に、呉用の後ろから躍り出して、言った者がある。

「宋司令。なにをグズグズしてるんだ。そんな老いぼれ相手に、首を傾げてばかりいたって始まるもんか。