Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
そうやすやす、手折れると思ったら、大間違いでござんすよ」
「おっと、今日は急ぎの用先きだっけ。薬種を煎じるにも気永が大事さ。辛抱はするからね、たのんだぜ」
「あらお待ちなさいましよ。床几の下にまでお金が散らばッてさ。お忘れ物じゃございませんの」
「オ、紙入れからこぼれたね。ええ、めんどうだ。婆さんそっくり拾って取っておきな」
「ひぇっ……。まあこんなに」
数日措くと、西門慶はまたやって来た。いやそれからは、三日にあげずだ。時によると一日に二度も三度も来るといったぐあい。大熱々なのぼせ方である。王婆さんには思いがけない福運の春告鳥は、こことばかりな手具脛振りだ。
元々、この王婆たるや、ひと筋縄の婆ではない。近所界隈の事情合いには精通しており、戸々の収入りから女房たちの前身、亭主の尻の腫物までも知りぬいている。堕胎、姦通、妾の周旋、あいびき宿、およそ巾着銭の足しには、なんでもござれとしていたのである。そこへ鴨も鴨、断然そんな手輩とは、金の切れが違う西門慶という大鴨がかかったのだから、婆としては千載の一遇だ。ほかは一切お断りの態で、旦那旦那と彼一人へ手練手管をつくしにかかったものだった。