Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
しかし船頭は、三人の感謝をみても、ふンといった面つきだった。そして櫓をあやつりながら、酒きげんで、湖州小唄などを、ちょっと低い美い声でくちずさんだ。
ほとけ心があるならば
こんな渡世はしていない
どうせ根からの葦そだち
風と水とで暮らすのさ
宋江はなぜかぎょッとした。
おちついて、しみじみと今、星影で見たこの男。彼には、ただ者でなく思われてきた。
「船頭さん、もうこの辺でいい。どこかそこらへ寄せてくれないか」
「ふざけちゃいけないよ。おめえたちは、命拾いをしたつもりかい」
「えっ?」
「それとなく引導は先にわたしておいたろう。“薄刃切り”のご馳走はこれからだ」
「薄刃切りとは」
「早く見てえというのかい」船頭はガラと櫓づかを投げ出した。そして舟底板をめくり上げ、その下からドキドキ研ぎすましてある板刀を取り出すと、
「一匹一颯、三人ならこれで三振り、なんの手間ひまなしに、そのあとは鱠料理さ」
と、切ッ先をつきつけて来た。
悲鳴も出なかった。二人の端公は宋江にしがみつく。その宋江も蒼白なおもてを凍らせたまま背を這う顫えをどうしようもない。
まことや諺にいう“倖せはかさならず、わざわいは一つですまず”だ。