Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
憂心は熱く 涙は冷ややか
こころざし成るの日は笑うべし
黄巣も丈夫のかずにあらずと
「城県人宋江作」
「むむ、久しぶりでものを書いた」
筆をおくと、彼は椅子に返って、片手に杯を持ち、片手の指で木琴を叩くように卓を弾き、小声でそれを吟じてみた。そこですっかり気分をもち直し、やがて勘定を払うと、踉々蹌々、元の道をもどって行った。――その孤愁の影、多情多感なその日の彼は、あとで思えば、げにも宋江として珍しいことだった。牢営内のわが部屋へ帰りつくやいな、前後不覚、翌朝までぶっ通しに眠って、前日の墨戯のことなど、ほとんど記憶にもなくなっていた。
ここに無為軍とよぶ田舎町がある。
江州のすぐ対岸で、江州府の大街とは絶えず通船が通っており、また黄文炳のような物持ちとなると、これは洒落た自家用船で、いつも江州大城へ出向いていた。
黄は、非役の閑職だった。
そこで無為軍に美邸をかまえ、ずいぶん贅沢な生活ぶりをやっているが、どうして、なおまだ内には野心勃々たるものがあるらしい。その証拠には、彼が四時の珍しい土産物を積んで行くさきといえば、つねにきまって、江州奉行閣下蔡九の私邸であった。