Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
六十一
その家に半ばを分けて来た植物の種子は岸本が国を出る時にあの中野の友人等から贈られたのだ。岸本は残りの半ばを植物園の近くに住むという教授の許へも分けるつもりで、これから書記夫婦と共に見に行こうとする教授の人となりを想像した。その晩の茶の会に集まろうとする未知の人々をも想像した。
六十一
ギイ・ド・ラ・ブロッスという町にある教授の家の茶の会から岸本が下宿の方へ歩いて帰って行った頃は大分遅かった。彼の胸は初めて仏蘭西人の家庭を見、未知の人々に逢ったその日のことで満たされていた。恐ろしく巌畳なアーチ形に出来た家々の門の前には遅く帰った人達が立って、呼鈴の引金を鳴らしていた。家番もぐっすり寝込んだ時分であった。
暗い階段を上って下宿の戸を開けると、皆もう寝沈まっていた。廊下の突当りにある自分の部屋へ行ってからも、岸本は直ぐには寝台に上らなかった。部屋を明るくした古めかしい洋燈に対って見ると、「巴里へは何時御着きに成ったのです、何故もっと早く訪ねて来てくれないのです」と快く爽かな調子で言ったブロッスの教授の声はまだ彼の耳についていた。印度研究に関した蔵書の類が沢山置並べてある書斎の中で、まだ大学へでも通っているらしい青年の方へ彼を連れて行って、「忰にも一つ逢ってやって下さい」