Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
七十五
ッてお母さんの方から書いてよこしました。親さえなかったら、僕は国へ帰りたくは有りません。国の方の消息を聞くことは苦痛です。寧ろ僕は長く巴里に留りたいと思います。例の一件の時も、親達がどのくらい僕のために心配していてくれたか知れません。僕は愛人の最終の手紙を親達の家の方で受取りました。しかもその手紙はあの人のお母さんか姉さんが吩咐けて書かしてよこしたらしい手紙です。別れの手紙です。『こういうものが来てる』ッて、お父さんが心配顔に渡してくれましたから、僕は二階へ持って行ってそれを読みました……何時まで経っても僕が二階から降りて行かないでしょう、お父さんもお母さんも心配してしまって、お燗を一本つけて置いて僕を階下へ呼んでくれました。酒の香気を嗅いで見ると、僕も堪らなくなって、独りでしくしくやり出しました。お父さんは散々僕を泣かして置いて黙って視ていましたが、終に何を言出すかと思うと、その言草が好いじゃ有りませんか。『貴様も、女運の無い奴だなあ』ッて……」
岡は父親の言ったという言葉を繰返して見て、自ら嘲るように笑った。
七十五
親さえなくば国の方へは帰りたくないという岡を自分の身に思い比べながら、やがて岸本はその画室を出て天文台前の方へ戻って行った。