Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
七十三
夫に随いて根岸を去ろうとしていた愛子は、しばらく東京もお名残りだという風で台湾の方にある両親(岸本の長兄夫婦)の噂や、露領の方にある輝子(節子の姉)の噂などから、義雄叔父の家の人達の噂に移って、節子に就いてもこんな噂をした。
「節ちゃんも大違いに成りましたねえ――こないだは根岸の方へ訪ねて来てくれまして、二人でしばらく話しましたっけが。なんですか、前から比べると逢って見てもずっと気持の好い人に成りましたよ」
岸本は愛子の口から――節子から言えば年長の従姉妹にあたる「根岸の姉さん」の口から、こうした噂を聞くように成ったことを楽しく考えた。それに岸本はこの根岸の姪に自分の末の女の児を頼んであった。愛子の大阪行には種々な話が出た。
「お前に見せるものがある」
と岸本は言って、部屋の隅に置いてある新しい三本立の本箱を愛子に指して見せた。本箱とは言っても、三つを一緒に寄せて見たところは書棚ぐらいの大きさがあった。それは彼が巴里から持って帰った荷造りの箱板を材料にした旅の記念で、蓋だけを別の檜木の板で造らせたものであった。
「あの本箱の蓋の裏へお前に何か描いて貰いたい。