Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
何故というに、彼が節子と二人で出て来たところは、本当に彼女と一緒に成ることも出来なければ、そうかと言って彼女から離れていることも出来ないような位置にあったからで。節子を愛すれば愛するほど彼はその感じを深くした。彼女と一緒に成るようなことは到底彼女には望めないことであった。そんなら全く互に孤独を厳守して精神上の友であるのに甘んずることが出来るかというに、それも彼の情熱が許さなかった。どうかすると彼は、少しでも好い方へ節子を導きつつあるのか、それとも二人して堕落の路を踏みつつあるのか、その差別も言えないように自分で自分を疑うことすらあった。彼は節子に対する哀憐を自分の行けるところまで持って行こうとして、兄に隠し、嫂に隠し、祖母さんに隠し、久米に隠し、自分の子供にまで隠し、まるで谷底を潜る音のしない水のように忍び足に歩き続けて来た。この二人の路の行き塞ることは見易い道理であったかも知れない。
九十二
最早岸本は今までのように窮屈な、遠慮勝ちな、気兼ねに気兼ねをして人を憚りつづけて来たような囚われの身から離れて、もっと広い自由な世界へ行かずにはいられないようなところまで動いた。