Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
彼は懐にしている手紙を嫂に残して置いて後で静かに読んで見て貰うつもりであった。その心で、嫂の側に居た節子を一寸病室の外へ呼んだ。そこの廊下つづきには、看護婦等の往来する長い板敷とは少し離れた別の廊下があった。岸本は節子と二人で硝子戸越しに向うの廊下の硝子戸の見える高い柱の側に立って、書いて持って来た手紙のことを話した。
「矢張、そりゃ書いた方がようござんすよ。口じゃ言えませんからね」
と節子は言って、遽かに沈思を誘われたかのように硝子戸の外を眺めながら立っていた。
「じゃ、行こう」
と岸本が病室の方へ節子を誘おうとした時は、さすがに狼狽の色が彼女の顔に動いた。節子は岸本に随いて病室に入ると直ぐ窓の方へ行った。岸本が病人の側に立って看ている間に、節子はもう窓際で涙ぐんだ。
「姉さん、私はあなたに読んで頂くつもりで、手紙を書いて持って来ました。後でこれを御覧なすって下さい……」
この言葉と、詫の心の籠った御辞儀と、手紙とを残して置いて、間もなく岸本はその病室を出た。
百八
その日の夕方のことであった。岸本は愛宕下の方に帰っていて、下宿の電話口へ呼出された。
「父さん、病院から電話」