Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
百二十八
岸本は蔭ながら節子のことを心配しつづけて、未だ台湾から何とも言って来ないのかとその便りを待遠しく思っていた。彼は節子から次のような手紙を受取った。
「今日はお父さんも病院へお出掛けになりましたから、久しぶりでお二階の三畳でこれを書きます。私がこの部屋に居るのは何だかお邪魔のようでもあり、お父さんは居睡りしていらっしゃる時の外は何時でも暗誦ですから、私の方でも思うようには出来ませんから、長い間ずっと階下の四畳半で皆と一緒におります。この頃は私は人の知らない満足と隠れた誇りとに満ちた日々を送っております。私共はすでにすでに勝利者の位置にあることを感じますね。自分のベストを尽した時でなければ、心から満足を感ずることも出来ないのに、私の周囲にある人達はどうしてこう小さなことに一生懸命になったり悦んだり悲しんだりして、それでいながら根本の問題には触れようともしないのでしょう。近頃ほんとうに生き甲斐のある時を送ったと思いましたのは、お母さんの亡くなった前後でございました。それから思い合せて下すっても、この頃の日々がどんなものかは想像して見て下さることが出来ましょう。