Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 81.739 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

十二月二十日

とまると、自分も思い私共も思って居るのに、時間表を見たりして居る。ああ云うことは、私にはしてくれないでもいい。夜市次郎、高村の婆さまが来る。大変寒い。雪が、丁度家へつくと降って来た。いい時に帰って来たとおっしゃるから、私も、いいときに帰って来ましたと云う。角屋の息子は、耕花さんや大観や未醒の画を持って居る。ああやって一生過す人かと思ったら、真個に気の毒になって来た。疎髯の生えた顎、震える唇を思うと、あの山の温泉で、一つの命が次第に弱って来て居ることが、まざまざと思い浮べられる。

十二月二十日(水曜)

朝起きたときにはまだ雪があったが、午後になって見ると、知らぬ間にとけて居た。お風呂へ入れないのでさむしい。東京へ古雑誌を送る。一郎のところへ行って、そのみじめなことに涙をもよおされた。暮にさしかかって、どんなに困って居るか分らない。女房を思い切れないからって、何故あんなに辛い目に会わせるのだろう。ほんとに可哀そうだ。五円もやりたいと思う。誰かが一人よくない男だと云うと、誰も彼もが、ワイワイ云ってあんな体で働けないものを悪く云う。もうじき死ぬんだもの、それを考えたら、少しはよくしてやったっていいだろうのに。