Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

わしの足は、がたがた顫え、唇の色もなかったろうと思われる。

「出陣。出陣っ」

「先鋒。――荷駄隊、用意」

星の白い真夜半だった。

組々の士隊長は、お城の土坡に立って、法螺のような声で怒鳴った。

が――それには、誰も驚きあわてるはずもない。既に夜の出陣は、知れ渡っている事である。

昨年来、信長公の命をうけて、御幕下の将校、羽柴筑前守秀吉は、中国に攻め入って、この春以来、備中高松城の清水宗治の頑強な抵抗にくいとめられ、遠征の軍馬は、攻めあぐねている態であった。

その秀吉から信長へ、願わくば君公の本営を進めて、御威光の督選あらんことを、要請していた。

わしの御主人は、その先鋒として、中国へ出陣を申しつかっていたので既に、行軍の準備は一切手落ちなくできていた。

城門が開かれると、真夜半の亀山の町々の上へ、出陣の貝が、長い息をひいて鳴って行った。

辻々には、赤々と、篝火が燃えて、国主の出陣を見送る領民が、眠りもせず土下座していた。

蜿蜒と、軍馬は、東へ向って流れて行った。

「……?」

お留守居組のわしは、その長い列の行く手を、お城の土坡から見送っていた。とめどなく流れる涙も拭わず見送っていた。