Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
わしは、
「ああ、その時の猿殿にも、ついあれ以来会う折もなく過ぎて来てしまった……」
と、呟いた。猿殿は、いつも陽気で明るかった。猿殿の体からは、常に陽気が発しているように見えた。太陽とか、天道とか、よくいった。知らず知らず暗闇の人間にも希望を抱かせた。
「そ! ……そうだ……」
わしは、猿殿にお目にかかる日が、その天道のお導きで、今こそ、到来したのだ――と、刹那に考えた。
そう感じると、わしの前に、あの牢獄の切窓から、闇の床へ、一尺ほど映した太陽のように――救いの光がくわっと胸へ甦って来た。
わしは、血のとまらない深股の槍傷の穴へ、土を詰めこんだ。そしてぎりぎり布で縛りつけ、そこらの生木を切って杖とした。
よろめきながら、わしは歩き出した。光秀様は、丹波境のこの峠を東に向って、本能寺に殺到したが、わしは西へ降って備中路へ指して行ったのである。
空はまもなく薄浅黄に明けて来たが、団々たる雲のちぎれ間を、赤い煙が這い、太陽は鉛のように黒かった。
道を急ぐわしの後には、洛中洛外の騒動が、目に見えるようなここちがした。地獄の物音が耳についてならなかった。
さみだれ陣