Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
三
事によったら、侍の株を、御周旋して下さるかも知れねえ」
「有り難うございます。それがかなえば、わしも――」
彦太は、もう希望をつかんだように、胸をわくわくさせ、伯父夫婦へ、額をつけて、礼をいった。
「礼は、はやい。店の大事なお花客だし、先はお旗本の御隠居、どじをするなよ」
「はいっ」
彦太は、堅くなって答えた。
三
芽柳が、南割下水のゆるい流れと人通りの少ない往来に添って、並木になっていた。
「ここが本所か」
彦太は、大川からこっちへは、初めて来たのだった。お村は、
「この辺、晩になると、夜鷹が出て、彦さんなんぞ、通れない所だよ」
と、教えた。
「夜鷹って、何ですか」
「ホホホ。まだ、知らないの」
訊き返す間もなく、お村は立ちどまって、顎をしゃくった。
広い宅地と、それを囲む塀や木立や、そして厳しい錆を持った冠木門に、彦太は、
「ここか」
と、唾をのんだ。
六尺でもいそうな袖門の潜りを、お村が、気軽に入って行ったので、彦太は、はらはらした。そして、玄関の前までくると、奥の方で、三味線の水調子が聞えたので、又意外に思った。
式台の下には、粋な女下駄や、日和や、駒下駄や草履が、いっぱいに並んでいた。