Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
ふいと、気が変った。
「代価が払ってあるのだ。親と同意でないわけはなし、俺が去れば、又、後の男へ、土蔵付き売家で、売りに出る娘。何を、憐れがることがあるものか。――割下水の柳の下から袂をひっぱる女と思っても、不徳じゃない」
でも、彦太は、体がふるえた。
お縫は、俯向いてる上に、さらに、花嫁の重げな髪を、うつ向けた。
「…………」
彦太は、彼女の手へ、手を触れた。
何もいえないのである。
すると、お縫は、とうとう顔を、畳までくッ付けてしまった。そして、蚊の泣くような声で、
「ゆ、ゆるして下さいまし、父の、苦境を救いたいばかりに、こ、こんな御縁を結びましたが、私には、さる御直参の御次男で、言いかわしたお方があるのでございます……」
「えっ?」
「ほかに、女子をお持ちなさろうとも、決して、苦情がましい事は申しませぬ故、あなた様を、あざむいた罪は、ゆるすと、仰っしゃって下さいませ。ゆるさぬと、仰っしゃられたら、私はここで、自害するよりほかございませぬ」
畳へつけた顔の下に、懐剣を持って、すすり泣くのだった。
「ウーム、成程っ」
毎日、往来の脚を見ていた彦太も、江戸が、ここまで墜ちて来ているとは、考え及ばなかった。