Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate

Aozora Bunko

「ハハァだんなさまは、お気がちがわれましたな? じゃ、もう、しかたがねえ! てまえのご奉公も、これまでだ! だんなさま、これでお別れいたします。ながながお世話さまでございました」

身をひるがえして佐平治が闇のなかへおどりこんだとたん、間一髪のところで、

「ええい、おう!」

と将監はおどりかかってきましたが、わずかに背筋一寸か二寸の差で、わおぅっ! と佐平治はからくものがれることができました。

「卑怯もの、かえせ! おのれ曲者! 逃げようとて逃がすものか!」

必死になって逃げゆくうしろから、左近将監もまたおいかけてきます。そして追うものと追われるものと、主従ふたりは、このさんたんたる死人の屋敷をあとにして、黒暗々たる闇のなかへとそのすがたをけしてしまいました。

が、このころにはもはや、神通力をえた怪猫は、そのすがたをくるった左近将監の眼前にのみあらわして、将監はもはやまったく、怪猫の意のままにみちびかれていたのではないかと思われます。

くるった主人を見かぎった佐平治は、お小姓街道を右へそれて、村のほうへ村のほうへとのがれさりましたが、将監は血刀をひっさげたまま左のかた御城下のほうへ! 御城下のほうへ、御城下のほうへと息をきらせて怪猫のすがたをもとめてまいります。