Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
一 お猿さん
一 お猿さん
「癪にさわるったら、ありゃしない。」と、乳母のお浜が、台所の上り框に腰をかけながら言う。
「全くさ。いくら気がきついたって、奥さんもあんまりだよ。まるで人情というものをふみつけにしているんだもの。」と、竈の前で、あばた面をほてらしながら、お糸婆さんが、能弁にあいづちをうつ。
「お前たち、何を言っているんだよ。」と、その時、台所と茶の間を仕切る障子が、がらりと開いて、お民のかん高い声が、鋭く二人の耳をうつ。
お糸婆さんは、そ知らぬ顔をする。お浜は、どうせやけ糞だ、といったように、まともにお民の顔を見かえす。見返されて、お民はいよいよきっとなる。
「お浜、あたしあれほど事をわけて言っているのに、お前まだわからないのかい。恭一は何と言っても惣領なんだからね。どうせあの子を、そういつまでも、お前の家に預けとくわけにはいかないじゃないか。」
「そんなこと、もうわかっていますわ。どうせ御無理ごもっともでしょうからね。」
「お前何ということをお言いだい、私に向かって。……お前それですむと思うの。」
「すむかすまないかわかりませんわ。まるで欺しうちにあったんですもの。