Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
二五 姉ちゃん
彼は自分の体の下に、しっかりと一人の子供をおさえつけて、その頬ぺたを、両手でがむしゃらに掴んでいたのである。一人の子供というのは、いうまでもなく由夫であった。由夫の顔は、次郎の爪で、さんざんに引っかかれていた。
しかし次郎の傷は一層ひどかった。彼の裸の体は、方々紫色に腫れ上っていた。ことに後頭部にはかなり大きな裂傷があって、血が背中や胸にいくすじも流れていた。彼が明るい電燈の下に、歯を食いしばった姿を表した時には、春子をはじめ、みんなが顔色を真っ青にしたほどだった。
傷は竜一の父に二針ほど縫って貰った。春子は繃帯をかけてやりながら、半ば独言のように言った。
「私、お母さんにすまないわ。傷が治るまで次郎ちゃんをお預りしようかしら。」
次郎はそれを聞くと、眼を輝やかした。しかし、まだ繃帯を結び終らぬうちに、廊下にあわただしい足音がして、母のお民が診察室に顔を現した。そして次郎は間もなくつれて行かれた。
二五 姉ちゃん
次郎の頭に巻かれた繃帯は、学校じゅうの注目の焦点になった。誰もそれを彼の敗北のしるしだと思う者はなかった。このごろ少し落目になっていた彼の勇名は、そのため完全に復活した。