Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
三一 新生活
「そうそう。今夜は、ちょうど十五夜でございましたよ。」
「あら。すると次郎の誕生日ですわ。あたし、かまけていてすっかり忘れていましたの。」
と、お民がいそいそと立ち上って、月を見た。すると、本田のお祖母さんが、
「私、気づかないでもなかったんだがね。こちら様で、そんなことを言い出すものでもないと思って。」
それでまた、あたりが変に気まずくなった。次郎は、しかし、もうその時にはそこにはいなかった。彼は、彼が物ごころづいて以来、しばしば聞かされてきた、「八月十五夜」が、ちょうど今夜だということなど、まるで思いつきもしないで、遠慮深そうにしている恭一や俊三を尻目にかけながら、わが物顔に庭をあちらこちらと飛びまわっていた。
三一 新生活
翌日は本田の一家が出発する日だったにも拘らず、次郎は、平気で学校に行った。みんなも、いっそその方がよかろうというので、強いて休ませようともしなかった。帰って来てみんなの姿が見えなかったら、きっと淋しがるだろうと、正木では気をつかっていたが、別にそんなふうにも見えなかった。
それ以来、彼の日々は割合平和に過ぎた。気持がのびのびとなるにつれて、喧嘩をしたりすることも、割合に少なくなった。