Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
八 水泳
そしてとうとう息ずすりを始めた。
すると俊亮が言った。
「泣かんでもいい。だが、これから人が見ていないところでは、どんなにひもじくても物を食うな。その代り、人の見ている所でなら、遠慮せずにたらふく食うがいい。ねだりたいものがあったら、誰にでも思い切ってねだるんだ。いいか、父さんは意気地なしが大嫌いなんだぜ。」
その夜、次郎は父のそばに寝た。無論寝小便も出なかったし、蚊にも刺されなかった。また、夜どおし父に足をもたせかけたりしたが、決して呶鳴られるようなことがなかった。彼はこの家に来て、はじめて本当の快い眠りをとることが出来たのである。
八 水泳
翌日、俊亮は、早めに昼食をすますと、恭一と次郎をつれて大川に行った。ちょうど干潮時で、暗褐色の砂洲が晴れ渡った青空の下にひろびろと現れていた。
三人は、喧しく行々子の鳴いている蘆間をくぐって、砂洲に出た。そして、しばらく蜆を拾ったり、穴を掘ったりして遊んだ。
次郎は、のびのびした気分になって、砂の上に大の字なりに臥た。
温かい砂の底からしみ出て来る水の感触が、何ともいえない好い気持である。きらきらと光って眼の上を飛んでいく蜻蛉までが、今日は珍しい世界のもののように思える。