Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Leggi 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.917 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

二十二

その内に往来の人影は、見る見る数を加え出した。と同時に騒がしい叫び声も、いつか憎悪を孕んで居る険悪な調子を帯び始めた。

「火つけを殺せ。」

「盗人を殺せ。」

「素戔嗚を殺せ。」

二十二

この時部落の後にある、草山の楡の木の下には、髯の長い一人の老人が天心の月を眺めながら、悠々と腰を下していた。物静な春の夜は、藪木の花のかすかなを柔かく靄に包んだまま、ここでもただ梟の声が、ちょうど山その物の吐息のように、一天の疎な星の光を時々曇らせているばかりであった。

が、その内に眼の下の部落からは、思いもよらない火事の煙が、風の断えた中空へ一すじまっ直に上り始めた。老人はその煙の中に立ち昇る火の粉を眺めても、やはり膝を抱きながら、気楽そうに小声の歌を唱って、一向驚くらしい気色も見せなかった。しかし間もなく部落からは、まるで蜂の巣を壊したような人どよめきの音が聞えて来た。のみならずその音は次第に高くざわめき立って、とうとう戦でも起ったかと思う、烈しい喊声さえ伝わり出した。これにはさすがの老人も、いささか意外な気がしたと見えて、白い眉をひそめながら、おもむろに腰を擡げると、両手を耳へ当てがって、時ならない部落の騒動をじっと聞き澄まそうとするらしかった。