Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.725 caratteri · 298 schermate
「あれ、お前どうしたのさ」
驚いたのは女房のお辰でした。ろくに眠らなかったらしい脹れた眼を、眩しく外へ出したのです。
「騒ぐなよ。――俺はな、昨夜新助の野郎を撲ち殺したんだ――敵は確かにこの親父が討った――とお駒の死骸にそう言ってくれ」
「お前さん、気でも違やしないかえ」
「気は確かだ、酒もまだ飲まねえ――なア、お辰、手前は生さぬ仲だからって、俺がお駒を可愛がりようが足りないような顔をしていたが、今度はよく判ったろう、俺はお駒が可愛くてならなかったんだ。――敵を討ったのは俺だともさ、他の奴であってたまるものか」
松五郎は泣き癖らしい眼をしょぼしょぼさせて重吉に追立てられました。
「お前さん」
追いすがるお辰。
「達者で暮せよ、後添いなんか捜す気になるな、馬鹿奴」
「それどころじゃない、――お前さん本当にやったのかえ」
「本当ともさ、あんな野郎、生かして置けるか置けねえか考えてみろ」
「…………」
お辰はヘタヘタと崩折れると、手放しで泣き出しました。
「好きだからって無闇に生物を食うな、馬鹿野郎」
「お前さん、私一人置いて行くのかえ」
「当り前だ、畜生」
「…………」
朝の陽の豊かに射し始めた中を、二人は次第に遠ざかります。