Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.725 caratteri · 298 schermate
土蔵の海鼠壁は、あの通り見事に切り抜かれているのに、泥棒が鍵を盗んで入りはしないかという問が、あまりに迂闊だと思ったのでしょう。
「とにかく、この屋敷の中に住んでいる人を、皆んなここへ呼び出して下さい。一人一人に聞きたいこともあるし、少しは人相も見ておかなきゃア」
「…………」
藤三郎の顔には、もう一度薄笑いが浮びましたが、黙って引っ込むと、やがて母屋に住んでいる人間全部を、庭先に並べました。
第一番には今まで横になっていたという黒木長者の孫右衛門、これは五十左右の巌丈な中老人、鬢に霜を置いて、月代も見事に光っておりますが、慾も精力も絶倫らしく、改めて平次に挨拶した様子を見ると、三千両の打撃で、すっかり萎気返っているうちにも、何となく金持らしい尊大なところがあります。
続いて妾のお仙、これは二十五六の美しい中年増でわざと地味な様子をしておりますが、昔の身の上を匂わせるようなどことなく艶やかなところのある女、これは不思議に取り乱して、まだ朝の嗜みの化粧もしておりません。
子供というのは、妾のお仙よりも年上で、これは日本橋に店を持って、手広く生薬を捌いている総領の初太郎が一人っきり、嫁や孫達多勢と一緒、店の方に寝泊りをして、滅多に巣鴨へは来ませんから、まだここへは顔を出しておりません。