Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.725 caratteri · 298 schermate

Aozora Bunko

「ヘエ、行きますよ」

「支度をしろ、――少し手強いぞ」

二人はそそくさと支度をすると、お静と下女を残して、サッと闇の街へ飛出しました。

「どこへ行くんで」

ガラッ八はまだウロウロしております。

「シッ」

二人はもう三河町へ入っておりました。

「おや、市五郎の家へ――」

「黙っていろ。――間に合えばいいが」

平次の調子には、何とも言えない不安があります。

「何の間に合うんで、親分」

「間に合わなきゃ、もう一軒酒屋が焼ける」

「ヘエッ」

ガラッ八には、謎はどこまでも謎のままです。

「シッ」

ちょうど子刻(十二時)、上野の鐘がかすかに余韻を引いて鳴り止むと、どこからともなく、ユラリと出て来た者があります。

「…………」

平次は、飛出そうとするガラッ八を、どんなに一生懸命押付けたことでしょう。

やがて黒い影は、市五郎の裏の納屋へ、羽目板の破れから手を入れて、何とも知れぬものを取出すと、恐ろしい早さで、スタスタと新石町の方へ飛んで行くのです。

「八、覚られるな」

二人は追跡のあらゆる秘術を尽しました。見遁さず、覚られずに、夜更けの街を跟けるのは、全く容易の業ではありません。

やがて黒い影は、路地の中へスルスルと消え込みました。