Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.106 caratteri · 292 schermate

Aozora Bunko

五

お勝手口から、八丁堀の往来へ出ると、

「ちょいと、親分、待って下さいな」

少し息を切って追って来たのは、先刻お勝手でチラリと顔だけ見せたお静です。

「何だ、お静坊か。親分てえ奴があるかい」

「だって、私には何と呼んでいいかわからない」

「まアいいやな。まさかこちの人とも言えまいから、何とでも言っておくがいいやな」

「あら」

「ところで用件は何だ。美しいところを見せようて寸法ばかりじゃあるまいね。大方納戸の前に頑張っている石原の一件だろう」

「え、そうよ、大変な事が始まったんです。お吉さんが可哀想で、可哀想で」

「何をいきなり涙ぐみやがるんだ。順序を立てて話してみるがいい」

捕物の名人銭形の平次と一時両国で鳴らした美しいお静とは、人目と陽射しを避けて、街の片蔭へ入りました。

五

それから銭形の平次は、お静と諜し合せて、死物狂いの活動を始めました。まかり間違えば、一方ならぬ恩顧を蒙った笹野一家に、拭うことの出来ない瑕瑾の付く事件ですから、主人新三郎の帰りを便々として待っているわけには行きません。

石原の利助はすっかりお吉を張本人と決めてしまって、屋敷の外から呼応した、相棒の名を言わせようと、手を替え、品を替え責め立てますが、お吉は執拗に口を緘んで、悲しくも眼を伏せるばかり。