Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
松田博士は、懇篤そうな中老人であった。彼は自席に立って、座談的に芸術の郷土的特質という見地から、亜米利加の絵画についての観察を話しだした。
話しては、やや嗄がれた平坦な音声で、常識的に話を進めて行く。伸子の興味は、又程なくそれに物足りなさを覚えてきた。彼女は、話をききながら、向い側に並んでいる男達の顔を見較べはじめた。大概の男は広間の右側に立っている博士の方に頭を捩っているので、伸子のところからは沢山の顔の左半面だけが見えた。艶々した血色の上瞼の脹れぼったい凡俗な顔、皮膚が黒ずんで目鼻立の粗い、恐らくは口中が臭そうな容貌、又は、頬から口の辺にかけて肉の薄い、粘液質らしいすべすべした皮膚の持ち主。――ちょっとした脚の置き方や、椅子のもたれ方がみな何処か隠れた性格の一部を現しているようで、伸子はこの見ものを面白く感じた。正面から視た時は、怜悧そうに引緊っていたある青年の顔が側面から見るとまるで魯鈍さを暴露し力弱く見えた。――伸子はふと平生あまり見たことのない自分の横顔について微かな不安を感じた。順々にわたって、彼女と斜向いになっているさっきの男、名も仕事も知らない中年の男の番が来た。