Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

彼は椅子の奥に深く腰を落してもたれ、癖と見えてしっかり胸のところへ腕組みをして、うつむき加減になっている。先方から見られる心配ない一瞥を与えながら、伸子は微かな戸惑いを心の隅に感じた。彼の横顔には、これまで見てきたどの男達にもない何かがあった。ほかのどの男でも、容貌と躯とは同じ力の密度――つまり胸のところにあると同じ血や肉でひとくるみにできていると感じられるのに、この男ばかりは肩幅のひろい北国人風な体つきと、その上にのっている顔との間に、妙にちぐはぐなものがあった。足許から同じ力を入れてずっと見上げていくと顔へ来て急に視線が間誤つくような複雑なもの――地味さ、感傷的なもの、心持がのびやかに外部に発しきらず内攻しているという印象を与えるものなどが、陰翳となって、下唇の引緊った蒼白い横顔にはびこっているのであった。

伸子の視線は一二度後戻りをした。彼女の好奇心が、その陰気な横顔にむかって動いた。彼の顔にあるものは、決して多くの人々の持っているような得意な男の快活さでもなければ、雄々しさでもなかった。何か陰のものであった。それは暗さに近い。視るたびに、その陰翳は何処から来る何物なのかをひどく知りたい心持を起させる種類のものなのだ。