Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

多計代はやがて、思い出したように伸子に訊ねた。

「そう云えば、お前の持って行った紫友禅の着物はどうなったえ」

「あるわ」

「もうあれも着られまいね、いい模様だが――」

なお、色本に半ば気を奪われつつ、

「どうする積りだえ、着物だって少しはどうにかしなくちゃあなるまい」

「よくてよ、……いらないわ」

「いらないったって、そうもゆくまい。……じゃあ、まあこれにでもして置こうか」

多計代は、女中に白地の反物と色本とを渡し、箪笥をしめながら、次第に考えが拡がってゆく口調で呟いた。

「――一体、佃さんのお国はどんなところなんだろうね」

「さあ……なぜ? まだ行ってみないから私も判らないわ」

「だってさ、妙なお国風だね、とにかくこうやってお前が帰ってきたら、一応何とか御挨拶があって然るべきだろうと思うね。――それとも何かい、佃さんは親御に云ってやらないのかい?」

「そんなことなくてよ」

多計代は、自尊心を傷けられたような皮肉さで云った。

「――嫁の親から御挨拶申上げるまで、黙っていらっしゃるというわけだろうか」

「何と云って来ていいのか、見当がつかないから黙っているんでしょう。当人が帰ってでも来れば、きっとちゃんとするでしょう」