Classici giapponesi con furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate
知己友人、誰ひとり静山に反く者はない。実によく人に慕われる人だった。
しかもまだ武道家としては、若輩といってよい年齢のうちから、当代無双といわれ、槍では名人とゆるされている。そうした風格が余りにも若くから備わり過ぎていたのも、後に思えば、短命な花の早咲きであったのか、安政二年の夏七月、実に、余りにも飽っ気なく、静山は夭折してしまったのであった。
その死もまた、彼らしい、義のためではあったが。
「ああ、儚い!」
と人をして、嗟嘆を久しゅうせしめるような突然の死であった。
夏の初め頃から静山は、脚気を病んでいたが、七月の暑い日盛り頃、自分の水泳の師たる人が、何か恨みをうけている者のために、品川沖の水練場で、相手に謀られて危難に墜し入れられようとしていると病床で聞いたので、
「一大事」
と、自分の重態もわすれて、炎天を馳けつけ、その人を救うために沖へ泳いだので、脚気衝心を起して途中でことぎれてしまったのである。
静山は、年二十七。
残された高橋謙三郎は二十一歳であった。
五
養家の父高橋鏈之助は、それより数年前に死亡していたし、生家の母もつづいて逝くし、またその年の春には、養祖父の義左衛門も病歿し、今またつづいて、実兄の山岡静山に死別れたのである。