Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
ねえお燕、いったいおまえは、どうしてあんな所にいたのさ」
お袖も、同じ不審を、訊ねてやまなかった。
「…………」
お燕はただ笑っているのだ。なぜか、答えたがらないのである。
だが、訊き取らずにはおけないとばかり、三平も大亀も、根ほり葉ほり、なお訊きほじった。
「出かける前からの諜し合せを、お燕ちゃんは、よく知らなかったのかい?」
「いいえ」
「じゃあなんでおれたちが引き揚げの合図をしたのに、手筈どおり、山善の裏河岸につないだこの舟へ、すぐやって来なかったのさ。……そいつが、どうもわからねえんだよ」
「だって……」
「だって、どうしたのさ」
「わたし……大事な物を、どこかへ、落しちまったんだもの」
「へえ。何を、落したの?」
と、お袖は、眼をみはって、お燕の顔を、ふかく見つめた。
お燕は、なお口しぶっていたが、問いつめられて、ついにいいだした。
「わたしが、ものごころもつかないうちから、肌身離さず持っていた大事な大事な印籠を、山善から逃げ出すときに、どこかへ落してしまったので、それを探しているうちに……みんなにはぐれてしまったんです」
「ヘエ。印籠を落したのかい?」
「やっと、印籠を見つけたと思ったら、もう近所では非常太鼓。