Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
……いや、それよりも、先程から人の通行を阻めて、役目とはいえ、人違いと知れておるのに、無礼であろう」
「……ウウむ。何とも、卒爾いたしました。しかし、事のついでに、御姓名だけ、伺わせていただきたい」
「疑いがはれたからには、貴公から名乗んなさい」
「申しおくれました。南町奉行付きの、市川義平太という者。して、あなたは」
「藪八と申す」
「御姓は」
「藪」
「お名は」
「八でござる」
「おふざけなく」
「たれがふざけておりますか。姓は藪、名は八――相違ござらん!」
ひどく、語尾に権威があった。何か、ぴしっと、その語気に打たれた感じで、義平太が口をつぐんでしまうと、その侍は、
「はやく、やれっ。……とんだ道くさ」
と、駕籠の者を叱咤して、たちまち草間隠れ、灯は、濠端の闇を小さくなって行った。
泣き笑い
「――義平太。いつまで、ぼんやりしていても仕方があるまい。さ、帰ろう一度」
茫然としている彼の側へ寄って来て、さっきの同僚二人は、左右から義平太の腕を組んで、一しょに歩かせた。
「なあ、義平太。実は、おれたちも、物蔭で聞いていたのだが、世間には、ふしぎな人間もあるものだ。左右太は、今の男を、何だと思う?」