Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
「はははは……。おい、顔を拭けよ」
「アハハハ。どうもいかんな、ちか頃の、南は」
「みんな泣き虫になって」
「気を取り直そう。……おい、左右太、鼻紙があったらくれよ」
「鼻紙か」
三人はそこで、何とはなく、意味もなく、笑い合ってしまった。
そして、小林勘蔵は、左右太から鼻紙をもらっていたが、何か、ちらと、眼くばせをした。左右太は、うなずいて、石焼豆腐の方を、振り向いた。勘蔵は、義平太にも、紙を分けてやり、顔を拭かせて、門内へ連れて入った。
越前守は、まだ同じ部屋の、同じ燭の前に、寂然と、独坐していた。
まるで、肖像画のように、かみしも、袴のヒダも、さっきのまま、くずれもしていない。
そして、瞑目していた。眉宇、顔いろは、すっかり和やかな彼にかえっている。
かれは常に、かれ自身の精神を平調に癒やす医師であった。肉体の医師は外から迎え得られるが、心の医師は、自分が名医となるしかない。
「勘蔵に、義平太でございます。行って参りました」
「お……。御苦労。印籠は、受け取って来たか」
「いえ。もどりませぬ」
「では、楽翁を、召捕って来たか」
「急ぎましたが、とんと、帰りを見失いました」