Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
同じ松本について見ても、この間の晩神田の洋食屋で、田口の娘を相手にして珊瑚樹の珠がどうしたとかこうしたとか云っていた時の方が、よっぽど活きて動いていた。今彼の前に坐っているのは、大きなパイプを銜えた木像の霊が、口を利くと同じような感じを敬太郎に与えるだけなので、彼はただその人の本体を髣髴するに苦しむに過ぎなかった。彼が一方では明瞭な松本の批評に心服しながら、一方では松本の何者なるかをこういう風に考えつつ、自分は頭脳の悪い、直覚の鈍い、世間並以下の人物じゃあるまいかと疑り始めた時、この漠然たる松本がまた口を開いた。
「それでも田口が箆棒をやってくれたため、君はかえって仕合をしたようなものですね」
「なぜですか」
「きっと何か位置を拵らえてくれますよ。これなりで放っておきゃ田口でも何でもありゃしない。それは責任を持って受合って上げても宜い。が、つまらないのは僕だ。全く探偵のされ損だから」
二人は顔を見合せて笑った。敬太郎が丸い更紗の座蒲団の上から立ち上がった時、主人はわざわざ玄関まで送って出た。そこに飾ってあった墨絵の鶴の衝立の前に、瘠せた高い身体をしばらく佇ずまして、靴を穿く敬太郎の後姿を眺めていたが、「妙な洋杖を持っていますね。