Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

僕は自分の顔を鏡の裏に見るたんびに、それが胸の中に収めた父の容貌と大変似ているのを思い出しては不愉快になる。自分が父と同じ厭な印象を、傍の人に与えはしまいかと苦に病んで、そこで気が引けるばかりではない。こんな陰欝な眉や額が代表するよりも、まだましな温たかい情愛を、血の中に流している今の自分から推して、あんなに冷酷に見えた父も、心の底には自分以上に熱い涙を貯えていたのではなかろうかと考えると、父の記念として、彼の悪い上皮だけを覚えているのが、子としていかにも情ない心持がするからである。父は死ぬ二三日前僕を枕元に呼んで、「市蔵、おれが死ぬと御母さんの厄介にならなくっちゃならないぞ。知ってるか」と云った。僕は生れた時から母の厄介になっていたのだから、今更改ためて父からそれを聞かされるのを妙に思った。黙って坐っていると、父は骨ばかりになった顔の筋を無理に動かすようにして、「今のように腕白じゃ、御母さんも構ってくれないぞ。もう少しおとなしくしないと」と云った。僕は母が今まで構ってくれたんだからこのままの僕でたくさんだという気が充分あった。それで父の小言をまるで必要のない余計な事のように考えて病室を出た。