Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
それですらある場合には命の心棒を無理に曲げられるとでも云わなければ形容しようのない活力の燃焼を内に感じた。二つの争いが起るたびに、常に頭の命令に屈従して来た僕は、ある時は僕の頭が強いから屈従させ得るのだと思い、ある時は僕の胸が弱いから屈従するのだとも思ったが、どうしてもこの争いは生活のための争いでありながら、人知れず、わが命を削る争いだという畏怖の念から解脱する事ができなかった。
それだから僕はゲダンケの主人公を見て驚ろいたのである。親友の命を虫の息のように軽く見る彼は、理と情との間に何らの矛盾をも扞格をも認めなかった。彼の有する凡ての知力は、ことごとく復讐の燃料となって、残忍な兇行を手際よく仕遂げる方便に供せられながら、毫も悔ゆる事を知らなかった。彼は周密なる思慮を率いて、満腔の毒血を相手の頭から浴びせかけ得る偉大なる俳優であった。もしくは尋常以上の頭脳と情熱を兼ねた狂人であった。僕は平生の自分と比較して、こう顧慮なく一心にふるまえるゲダンケの主人公が大いに羨ましかった。同時に汗の滴るほど恐ろしかった。できたらさぞ痛快だろうと思った。でかした後は定めし堪えがたい良心の拷問に逢うだろうと思った。