Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
一時間ばかりして僕はむしろ疲れた顔を母からも千代子からも怪しまれに戻って来た。母はどこへ行ったのと聞いたが、後から、色沢が好くないよ、どうかおしかいと尋ねた。
「昨夕好く寝られなかったんでしょう」
僕は千代子のこの言葉に対して答うべき術を知らなかった。実を云うと、昂然としてなに好く寝られたよと云いたかったのである。不幸にして僕はそれほどの技巧家でなかった。と云って、正直に寝られなかったと自白するには余り自尊心が強過ぎた。僕はついに何も答えなかった。
三人が同じ食卓で朝飯を済ますや否や、母が昨日涼しいうちにと頼んでおいた髪結が来た。洗い立の白い胸掛をかけて、敷居越に手を突いた彼女は、御帰りなさいましと親しい挨拶をした。彼女はこの職業に共通なめでたい口ぶりを有っていた。それを得意に使って、内気な母に避暑を誇の種に話させる機会を一句ごとに作った。母は満足らしくも見えたが、そう蝶蝶しくは饒舌り得なかった。髪結はより効目のある相手として、すぐ年の若い千代子を選んだ。千代子は固より誰彼の容赦なく一様に気易く応対のできる女だったので、御嬢様と呼びかけられるたびに相当の受答をして話を勢ました。