Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
もし田口がやっても好いと云い、千代子が来ても好いと云ったらどうだと念を押したら、市蔵は返事をしずに黙って僕の顔を眺めていた。僕は彼のこの顔を見ると、けっして話を先へ進める気になれないのである。畏怖というと仰山すぎるし、同情というとまるで憐れっぽく聞こえるし、この顔から受ける僕の心持は、何と云っていいかほとんど分らないが、永久に相手を諦らめてしまわなければならない絶望に、ある凄味と優し味をつけ加えた特殊の表情であった。
市蔵はしばらくして自分はなぜこう人に嫌われるんだろうと突然意外な述懐をした。僕はその時ならないのと平生の市蔵に似合しからないのとで驚ろかされた。なぜそんな愚痴を零すのかと窘なめるような調子で反問を加えた。
「愚痴じゃありません。事実だから云うのです」
「じゃ誰が御前を嫌っているかい」
「現にそういう叔父さんからして僕を嫌っているじゃありませんか」
僕は再び驚ろかされた。あまり不思議だから二三度押問答の末推測して見ると、僕が彼に特有な一種の表情に支配されて話の進行を停止した時の態度を、全然彼に対する嫌悪の念から出たと受けているらしかった。僕は極力彼の誤解を打破しに掛った。