Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

僕はまずその調子に度を失った。次に彼の眼の色を見て萎縮した。その眼はいかにも恨めしそうに僕の顔を見つめていた。僕は彼の前に一言の挨拶さえする勇気を振い起し得なかった。

「僕はあなたに云われない先から考えていたのです。おっしゃるまでもなく自分の事だから考えていたのです。誰も教えてくれ手がないから独りで考えていたのです。僕は毎日毎夜考えました。余り考え過ぎて頭も身体も続かなくなるまで考えたのです。それでも分らないからあなたに聞いたのです。あなたは自分から僕の叔父だと明言していらっしゃる。それで叔父だから他人より親切だと云われる。しかし今の御言葉はあなたの口から出たにもかかわらず、他人より冷刻なものとしか僕には聞こえませんでした」

僕は頬を伝わって流れる彼の涙を見た。幼少の時から馴染んで今日に及んだ彼と僕との間に、こんな光景はいまだかつて一回も起らなかった事を僕は君に明言しておきたい。したがってこの昂奮した青年をどう取り扱っていいかの心得が、僕にまるで無かった事もついでに断っておきたい。僕はただ茫然として手を拱ぬいていた。市蔵はまた僕の態度などを眼中において、自分の言葉を調節する余裕を有たなかった。