Classici giapponesi con furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate
「素道さんも変ったもんだ」という話なので、子供心にも一ぺん行って見たいものと思っていたが、とうとう行かなかった。四畳半一間に住んでいては、やはりまあ夫婦生活のようなものだから、人々の興味をよんだわけである。
素道さんについて、私にはただ一つ忘れられないことがある。晩年の素道さんが「國男さんに上げてくれ」といって父に手渡した記念品がある。それは梅の種子の中をくりぬいて、その中に台付の天神様の入っている、小さな小刀細工であった。白い紙で包んで、その外紙に小さな天神様の由来が書いてあり、それに署名をして、私にくれると書いてあった。
ところが、私はそのころいたずら盛りで、この包紙や由来書の紙に落書をしたばかりか、いたずら書の悪い絵をいくつも書いてしまった。父がそれをみつけて非常に怒って、私の一生を通じて後にも先にも、父からあんなに叱られたことは他になかったほど叱られてしまった。子供にはなぜかよく分らず、「そんなにいけないことだったのかしらん」と後で、思ったりしたほどである。
素道さんは大変上品な、都会人のようなお坊さんだったが、晩年は寂しくなって、よその子供に秘蔵の品をやったりするようになったのであろう。