Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate

Aozora Bunko

和辻君とは早くからつき合っていたらしく、文学ものを非常によく読んでいた。二十三、四のころだったと思う、外交官試験をうけて失敗し、少し失望しているころの達三を、東大の文学部の助手の人が連れて来た。そして「先生、一つ小言をいって下さいませんか」という。「どういう訳だ」ときくと、「じつはあまりよくないことをしているんです」といったが、詳しいことがわからない。普段はきちんとした身なりをしている黒坂が、その日は少し顔が汚れており、髪の毛も乱れていた。

わけは最近和辻君に聞いてはじめて判ったが、あの当時黒坂は自分の下宿先の娘と約束して、だましたような形になってしまったので、その娘さんが鎌倉の海に飛び込んだのだそうである。黒坂も同じ時かどうか知らないが、やはり海に飛び込んだが、この方は助かった。助かったが、しかし新聞種になって非常に騒がれた。こんなことがあった時、文学部の人といっしょに私の所に来たのである。事情をききだそうにも、黒坂はだまって俯向いているし、連れて来た人もはっきりしたことをいわないので、いいかげんにあしらって帰したが、それから一カ月足らずして黒坂が自殺したのであった。